読書の備忘録

天然工房・林拓郎が何を読んだか、どうだったか、忘れないように記録します。
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好き好き大好き超愛してる。/舞城王太郎
ずっと気になっていた舞城王太郎。
ずいぶん前に「九十九十九(つくもじゅうく)」が読めなくて苦しんだ舞城王太郎。やっと読めたぜ。
いやーすごいす。

あらすじ
愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。

読み始めは面喰いました。な、なんだこれは!?わけわからん!と思いました。
なんというか、読むリズムがわからなかったのです。
あまりに読みづらくて途中から音読してみたらとたんに意味がわかり始めました。
あらすじの書き出しでも、そして本文の冒頭でも「愛は祈りだ」と書いている。
たぶんこれはお経に近い小説だと思う。急に盛り上がることもなく、かといってリズムが落ちるところもなく、
言葉が一定のリズムで続いていくのです。すごく軽くて愛らしいお経。だからこれは祈りの小説なのかなと。

説明するのは難しいです。でもこの小説自体はとってもわかりやすいです。ものすごく単純なことを言っています。心地よくたんたんと、包み込まれるような小説。
よかったら音読してみてください。

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)
(2008/06/13)
舞城 王太郎

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アンダンテ・モッツァレラ・チーズ/藤谷治
僕が本屋をやっていた時に発掘した一冊。超オススメ。

あらすじ
「エッフェル塔の先端にスカートのお尻を引っかけて宙ぶらりんになったままトランペットを吹いている花嫁さん」など全身不思議な洋ものタトゥーだらけの由果のまわりには、一筋縄ではいかない同じ会社の仲間たちが集まっていた。恋人の博覧強記男・健次、下北沢路上美形弾き語り青年・京一、彼を好きな謎のお金持ち令嬢・千石さん、ハードボイルドで映画おたくな浩一郎と共にみんなでどれだけバカで笑える話ができるかに命をかけて日々を過ごしていた。しかし、タトゥー・フェチの野茂美津夫部長の策略が引き金になって、事態は思わぬ展開を迎えることに―。

つらい時、苦しい時に力をくれる小説です。
嘲笑でも、失笑でも、苦笑でもない、爆笑することの楽しさ、大切さ。
それだけを追い求める登場人物たちが素敵過ぎ。

しかしただのおバカ小説と見くびるなかれ。
最後はビリー・ホリデイの音楽と共に、深い感動を与えてくれます。
普通の本屋では置いていないと思います。大きめの書店か、アマゾンをご活用ください。

アンダンテ・モッツァレラ・チーズ (小学館文庫)アンダンテ・モッツァレラ・チーズ (小学館文庫)
(2007/09/06)
藤谷 治

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余談ですが、
この本が文庫新刊で出た時、僕が働く店には20冊配本されてきました。20冊というと最低ラインの配本数です。これは売れないよね、という数。
しかし僕がこの本を読んでから、200冊追加注文を出しました。
小学館の担当の方が驚いて、それはちょっと…と出し渋り、絶対に売りますから!という僕の言葉を聞きしぶしぶ出してくれました。そして200冊売れたら焼き肉に連れてってくれるという約束をしてくれました。

担当だった●●さん…売りましたよ。まだ焼き肉のお話が来てませんが…
魍魎の匣/京極夏彦
今まで僕が読んだ本の中でも、衝撃度では1,2を争う一冊。
「姑獲鳥の夏」を読んだ時はそこまで衝撃なかったけど、これは…すごいよ。
本気で京極夏彦という人は頭がおかしいと思った。

あらすじ
匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

あらすじだけ読むとすごく陰惨で奇天烈な感じがしますが、大丈夫です。読むともっと奇天烈です(笑)
しかし拝み屋である京極堂が、その奇天烈な物語を一つ一つ解きほぐし、「この世には、不思議なことなど何もないのだよ」と言われると納得してしまうから不思議です。
悲惨な、悲しい事件が日々起こる今だからこそ、この中で京極堂が解明する「殺人の動機」というものの曖昧さ、意味を無理やりつけようとすることの無意味さは大切ではないかと。

分厚さに負けずにぜひ読んでもらいたいです。
ちなみに「姑獲鳥の夏」の続編になりますが、「姑獲鳥の夏」を読んでいなくても十分楽しめますよ。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)
(1999/09/14)
京極 夏彦

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マルドゥック・スクランブル/冲方 丁(うぶかた とう)
「天地明察」で本屋大賞を獲った冲方丁のSF作品。
早川文庫から3部作で出ていいます。

あらすじ
なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…

正直、1巻目の途中まではちょっといまいちなんです。主人公の少女バロットを狙って敵が襲ってくるんですが、その敵が魅力的じゃない。人体収集家達で結構グロい描写があるんですが、グロくても魅力的に描けていればいいけどそうじゃない。なんかこの小説に出てくるその敵キャラは使い捨てというか、作家の愛が感じられませんでした。…が。
2巻目からとたんに面白くなります。
少女バロットは自分の過去にケリをつけるため、賭博師シェルの経営するカジノに乗り込んでいきます。
ここからカジノが長い長い。3巻の終わり間際までカジノの話が続くのですが、これが面白い。
冲方さん、本当はカジノの本書きたいんじゃないの?って言いたくなるくらい熱のこもった描写です。

SFとか科学とか好きなら是非お勧めします。

「マルドゥック・スクランブル」の過去を描いた「マルドゥック・ヴェロシティ」というのも同じく3巻で出ていますが、これは読まないかな…続編なら読みたいけど、過去はちょっと…

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
(2010/10/08)
冲方 丁

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夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦
京都の貧乏大学生である「私」が、その後輩である「黒髪の乙女」とお近づきになろうとする、恋愛ファンタジー小説。

もうね、本当にね、黒髪の乙女が可愛すぎる。

電車の中で読んでいてニヤニヤしてしかたがなかった。
こんな女の子がいたらたまらんすよ!つーか、いないっすよこんな女の子!

理屈っぽくて度胸がなくて、できるだけ迂遠な方法で彼女とお近づきになろうとする「私」は、日々偶然を装って黒髪の乙女と出会う。すると必ず黒髪の乙女は「あ、先輩。奇遇ですねえ」と声をかけ、「私」は「ま、たまたま通りかかったものだから」と返す。
哲学の道で、古本市で、大学の構内で、「私」は少しずつ黒髪の乙女と近づいていく。

猫ラーメン、韋駄天コタツ、詭弁論部、パンツ総番長、像の尻、偏屈王、古本市の神様、ラ・タ・タ・タム、偽電気ブラン…虚実清濁入り混じり、混沌とした京都を舞台に、とてつもなく遠回りな恋愛をする男の話。

作中に登場する数々の名言も素敵。
「恥を知れ!しかるのち死ね!」
「地に足をつけずに生きることだ。そうすれば飛べる」
「諸君!異論はあるか。あればことごとく却下だ!」
「しかし、どっこい生きている」
「よろしいですか。女たるもの、のべつまくなし鉄拳をふるってはいけません。けれどもこの広い世の中、聖人君子などはほんの一握り、残るは腐れ外道かド阿呆か、そうでなければ腐れ外道でありかつド阿呆です。であるから、ふるいたくない鉄拳を敢えてふるわなねばならぬ時もある。」

もう、お勧めです。最高にカワイイ小説です。
文庫版を買うと、巻末に羽海野チカのイラストも入っていてお得感満載。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
(2008/12/25)
森見 登美彦

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